次のような数列があるとき,各項の総和を求めてみましょう。
\( 1,\:2,\:3,\:4,\:5,\:\cdots,\:9,\:10 \)
つまり1から10までの自然数の和を求めてみましょう。\( 1 + 2 + 3 + \cdots \)と順に計算していってもよいですが,もっとスマートな方法はないでしょうか? 次のように考えると,もっと簡単に求められそうです。
\(
数列の和をSとする。\\
\color{blue}{S = 1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 + 7 + 8 + 9 + 10 \;\;\;\;\cdots\;(1)} \\
上の式は次のようにも書き換えることができます。\\
\color{blue}{S = 10 + 9 + 8 + 7 + 6 + 5 + 4 + 3 + 2 + 1 \;\;\;\;\cdots\;(2)}\\
このふたつの式(1)と(2)を続けて書き出してみます。\\
S = \:\:1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 + 7 + 8 + 9 + 10 \\
S = 10 + 9 + 8 + 7 + 6 + 5 + 4 + 3 + 2 + 1 \\
縦に数字を見てみると,1と10,2と9,3と8,というように,足すと11になる数字が並んでいます。\\
そこで,左辺どうしと右辺どうしを足し算してみます。\\
連立方程式の加減法の要領です。\\
\color{blue}
{\;\;\;\; S = \:\:1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 + 7 + 8 + 9 + 10 \\
\underline{+) S = 10 + 9 + 8 + 7 + 6 + 5 + 4 + 3 + 2 + 1} \\
2S = 11 + 11 + 11 + 11 + 11 + 11 + 11 + 11 + 11 + 11\\
2S = 11 \times 10\\
2S = 110\\
\;\;S = 55\\
Sは数列の和なので,1から10までのすべての自然数の和は「55」ということになります。
}
\)
次の数列の各項を足した総和を求めなさい。
- \( 1,\:2,\:3,\:4,\:5,\:\cdots,\:99,\:100 \)
- \( 3,\:6,\:9,\:12,\:15,\:\cdots,\:2997,\:3000 \)
- \( 1,\:2,\:3,\:4,\:5,\:\cdots,\:n-1,\:n \)
最後の課題では,1から\(n\)までの自然数の和を\(n\)で表します。この課題を解けば,1からいくつまでの自然数の和でも,\(n\)に数値を代入するだけで求められますね。
項の数が一定の数ずつ規則的に変化していく数列を,
等差数列
といいます。例えば,以下にあげる数列は,すべて等差数列です。
\(
1\:,2\:,3\:,4\:,5\:,6\:,\cdots\\
101\:,104\:,107\:,110\:,113\:,116\:,\cdots\\
200\:,198\:,196\:,194\:,192\:,190\:,\cdots
\)
ちなみに,数列の第1項のことを初項といい,等差数列の隣り合う項の差のことを公差といいます。たとえば,上記の最後の数列は,初項200,公差\(-2\)の等差数列といえます。また,差ではなく,隣り合う項の比が一定である数列を,
等比数列
といいます。以下に例を示します。
\(
2\:,4\:,8\:,16\:,32\:,64\:,\cdots\\
1\:,\frac{1}{10}\:,\frac{1}{100}\:,\frac{1}{1000}\:,\frac{1}{10000}\:,\frac{1}{100000}\:,\cdots
\)
等比数列の場合も,第1項のことを初項というのは同じです。そして,隣り合う項の比のことを公比といいます。上記の下の数列は,初項1,公比\(\frac{1}{10}\)の等比数列ということになります。
課題1では,等差数列の和を求めました。課題2では、等比数列の和を求めます。以下に示す数列の各項の総和を求めなさい。
- \( 2\:,4\:,8\:,16\:,32\:,\cdots\:,512\:,1024\)
- \( a\:,ar\:,ar^2\:,ar^3\:,ar^4\:,\cdots\:,ar^{n-2}\:,ar^{n-1}\)
ヒントは,掛け算です。2の課題は特に難しく,高等学校の教科書に出てくる公式です。どうぞヒントをもらって解いてください。