数列とは,漢字の意味の通り,数字が列をなしたものです。たとえば,次の数字の並びも数列です。
\( 1\:,2\:,3\:,4\:,5\:,6\:,\cdots \)
上の数列の最後に記載した「 \( \color{red}{\cdots} \) 」は,特別な意味をもっています。それは,それまでのような規則で,それ以後も続くという意味です。ですから,この数列は,無限に続くことを示しています。このように,無限に続く数列を
無限数列
といいます。一方,次に示すような,終わりのある数列を
有限数列
といいます。
\( 2\:,4\:,6\:,8\:,10\:,\cdots\:,98\:,100 \)
数列のそれぞれの数のことを
項(こう)
といいます。数列の1番初めの数を,第1項,2番目の数を第2項といいます。n番目の数は,第n項です。また,数列にアルファベットの名前をつけることがあります。次の例を見てください。
\(
次の数列を a とする。 \\
2\:,4\:,6\:,8\:,10\:,\cdots \\
このとき \\
a_1 = 2(aの数列の第1項は2という意味)\\
a_2 = 4(aの数列の第2項は4という意味)\\
a_5 = 10(aの数列の第5項は10という意味)\\
などと表す。\\
\color{red}{{a_n}は数列aの第n項を表す。}
\)
数学では,文字式を利用するときに,様々なアルファベットを用います。自由な文字を用いてもよいわけですが,いくつかの慣例があります。例えば,一次方程式では「x」を使うことが普通ですし,円の半径であれば「r」を使います。長さは「l」,面積は「S」などです。上の例で,\( a_n \)という表し方が出てきましたが,「n」は自然数に使うことが多いです。これらは,ヨーロッパ言語の頭文字になっていることなどが多いです。とりあえず,「n」は,ある自然数を表すということを覚えておきましょう。
ランダムな数列もあるでしょうが,先に示したような,規則的な数列もあります。数列の面白さのひとつに,その規則を見つけるというものがあります。また,数列を列挙ではなく,式で表すこともできます。ここで,初めに示した各項が自然数である数列を式で表してみましょう。
\(
数列 a : 1\:,2\:,3\:,4\:,5\:,6\:,\cdots\\
この数列の各項をnを使って表す。\\
\color{red}{a_n = n}
\)
この式に対して,\( \color{blue}{n=1} \)を代入すれば,\(\color{blue}{a_1 = 1}\)となり,第1項の値を示すことになります。同様にして\(\color{blue}{a_5 = 5}\)などと,すべての項を導き出すことができるので,上記の式で数列全体を表すことができます。このように\(a_n\)の項の値を,\(n\)を用いた式で表すことを,
一般項で表す
といいます。数列の列挙から一般項をもとめるには,数学的なテクニックが必要なものもありますが,みなさんの知力で考えれば,難しいテクニックを使わなくても,一般項を求めることができるものもあります。
さて,数列を式で表す方法として,もうひとつの方法があります。
漸化式(ぜんかしき)
という式です。以下にその例を示します。
\(
数列 a : 1\:,2\:,3\:,4\:,5\:,6\:,\cdots\\
この数列の各項をnを使って表す。\\
\color{red}{
\begin{cases}
a_1 & = & 1 & (n = 1)\\
a_n & = & a_{n-1} + 1 & (n > 1)
\end{cases}
}
\)
漸化式は,第1項(初項ともいいます)を示すと共に,第2項以後は,他の項の値から計算して求められるように表すものです。ふたつ以上前の項を使って表す漸化式もあります。さて,先ほどの式(一般項を求めたもの)と漸化式では,どちらが使いやすいでしょうか? 漸化式の場合は,\( a_{100} \)を知るためには,\( a_{99} \)を知らなければなりません。これを繰り返していくと,結局,初項までたどらなければならないことになります。それに対して,一般項で表した方は,\(n=100\)を式に代入するだけでよいのです。一般項も漸化式も数列を表す式には違いがありませんが,それぞれの性質には違いがあります。漸化式から一般項を求める難しい問題もあるのですが,数学クラブでは,当分の間,一般項のみを使用していきたいと思います。
- 次の数列の規則をみつけて,説明しなさい。
\( 1\:,1\:,2\:,3\:,5\:,8\:,13\:,21\:,34\:,\cdots \)
- 次の数列の規則をみつけて,説明しなさい。
\( 1\:,2\:,4\:,7\:,11\:,16\:,22\:,29\:,\cdots \)
ちなみに,一般項は \( \frac{n(n-1)}{2} + 1 \) です。
- 次の数列の規則をみつけて,説明しなさい。
\( 2\:,3\:,\frac{9}{2}\:,\frac{27}{4}\:,\frac{81}{8}\:,\cdots \)
- 次の数列の一般項\(\{a_n\}\)を求めなさい。
\( 3\:,5\:,7\:,9\:,11\:,13\:,15\:,\cdots \)
- 次の数列の一般項\(\{a_n\}\)を求めなさい。
\( 2\:,4\:,8\:,16\:,32\:,64\:,\cdots \)
説明が難しかったかもしれませんが,課題はそれほど難しくないはずです。よく考えてみよう。